水虫を治そう

爪水虫を治そう

はじめに

爪白癬(つめはくせん)いわゆる爪の水虫は、白癬菌というカビの仲間が、爪にすみついたために起こる感染症です。
以前は皮膚科専門医でも非常に治りにくい疾患として捉えられていた爪白癬ですが、新しい薬が登場したことで、根気よく治療を継続すれば確実に治る疾患です。
こちらで爪白癬の治療について、皆さんに知っておいていただきたいこと、あるいは皆さんが「どうして?」と思われるようなことをお話ししたいと思います。

笑顔の家族のイラスト

爪白癬とは

水虫チェック

あなたの爪、だいじょうぶですか?

自分の爪と見比べてみてください。
爪白癬を治療せずに放置しておくと、爪が白癬菌の貯蔵庫となって、足白癬(足の水虫)がいつまでも治らない原因になったり、自分のからだの別の場所、さらに家族やまわりの人にまでうつしてしまう可能性があります。

これらはすべて爪白癬です。

さまざまな爪白癬のタイプ

爪白癬1
爪白癬2
爪白癬3
爪白癬4
爪白癬5
爪白癬6

もしかして?と思われる方は、一度、皮膚科専門医に診てもらうことをお勧めします!

医師のイラスト

爪白癬の診断はどのように行われるのでしょうか?

正しい爪白癬の診断方法

経験を積んだ皮膚科医でも、見た目だけでは診断できないこともありますので、正しい診断を下すためには爪の濁った部分を削って、顕微鏡で観察します。
この検査で白癬菌が見つかれば、爪白癬と診断されます。
検査は5分もあれば結果が出ますし、痛みなどを伴うことはありません。また、場合によっては培養検査を行うこともあります。

水虫の検査をする医師

鑑別診断を要する疾患例

厚硬爪甲
厚硬爪甲
爪甲剥離症
爪甲剥離症

爪が厚くなったり、濁ったり、変形するのは爪白癬だけではありません。
似ている病気は厚硬爪甲や爪甲剥離症などたくさんあります。

爪白癬治療

どのような薬で治療するのですか

爪白癬の治療には抗真菌薬(こうしんきんやく)と呼ばれる薬が使われます。
真菌というのは、カビのことですが、抗真菌薬には内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があります。
一般に足白癬は外用薬で治療することが多いのですが、爪は硬いため外側から薬を塗っただけでは、爪のなかにいる白癬菌にまで薬の効果が行き渡らないこともあり、爪白癬の治療には抗真菌内服薬が使われることも少なくありません。
現在、爪白癬に保険適応のある内服薬はイトラコナゾール、テルビナフィン、ホスラブコナゾールの3剤です。外用薬で、爪白癬に効能・効果が認められているものもあります。 

抗真菌薬のイメージ
口から飲んだ薬がなぜ爪に効くのか、ちょっと不思議な気がするのですが

私たちは何気なく薬を飲んでいますが、薬がどのようにして患部に届くのか、深く考えたことはないと思います。
実は爪白癬の薬でも、高血圧の薬でも、内服薬の体内での移動のしかたはみんな同じです。薬を患部に運ぶ役割を担っているのは血液の流れなのです。
私たちが生きているのは、食べ物の栄養分や酸素が血液の流れによって全身にくまなく運ばれているからですが、栄養分や酸素と同じように、薬の有効成分も血液の流れに乗って患部まで運ばれていきます。
口から飲んで胃や腸に入った薬は、主に小腸から吸収され、門脈、肝臓、心臓を通って体中に張り巡らされている血管を通って患部に到達します。 ですから、頭のてっぺんから足のつま先まで血管が分布しているところであれば、どこへでも薬を届けることができるのです。
すると、「爪には血管が通っているの?」という疑問がわいてきます。 たしかに、爪そのものには血管はありませんが、爪の製造工場である爪母や爪に覆われた爪床と呼ばれるところには血管が通っています。
とくに新しい抗真菌内服薬は爪母だけでなく爪床からも薬の有効成分が爪のなかに浸透するため、従来より短期間で効果を現すことができるのです。

内服薬によって内側から治療
どのくらい薬を飲み続ければいいのでしょうか

爪白癬では、薬を飲んだからといって、濁った爪の部分が元の透明な爪に戻るということはありません。
薬が効いてくると、白癬菌におかされた爪の部分が爪の伸びに伴って先のほうへと押し出され、正常な爪におきかえられるのです。
ですから、爪の濁りが先端部だけですんでいる場合は治療期間も短くてすみますが、爪全体が濁っている場合はどうしても治療期間が長くなります。
爪が伸びる速さは手の爪で1ヶ月に約3ミリ、足の爪で約1.5ミリと言われ、完全に生え替わるにはそれぞれ6ヶ月、1年以上の時間が必要とされますが、個人差があります。
薬を服用する期間はその人の爪の伸びる速度に左右されますが、ホスラブコナゾール、イトラコナゾールで3か月、テルビナフィンで6か月程度です。
服用終了時期については、経過をみながら医師が判断しますので、自己判断による治療の中断をしないことが大切です。

爪白癬が治っていく過程
抗真菌薬を飲めば、必ず治るのでしょうか

爪白癬の治療で一番大切なことは、根気強く治療を継続することです。治療を始めてもすぐに効果が現れるものではないため、途中で治療を投げ出してしまう方も見受けられますが、新しい抗真菌内服薬の場合、3~6カ月間治療すれば1年後には8割程度の方が治ります。
ただ、どうしても治りにくい爪白癬があることも事実です。その場合には、病変部をドリルで削って、そこに爪白癬専用外用液を塗ると治る確率が高くなります。

手の症例

62歳男性
服用前
服用前
4ヶ月服用後 完治
4ヶ月服用後 完治
9歳男児
服用前
服用前
3ヶ月服用後 完治
3ヶ月服用後 完治

足の症例

52歳男性
服用前
服用前
3ヶ月服用後 完治
3ヶ月服用後 完治
39歳男性
服用前
服用前
3ヶ月服用後 完治
3ヶ月服用後 完治
39歳女性
服用前
服用前
6ヶ月服用後 完治
6ヶ月服用後 完治
71歳女性
服用前
服用前
服用後
服用後
副作用が心配ですが、だいじょうぶでしょうか

抗真菌薬に限らず、どのような薬でも目的の効果以外に、望ましくない作用(副作用)がでる可能性があります。
ひとくちに副作用と言っても、非常に重大なものから軽いものまでさまざまです。
抗真菌内服薬の場合、主な副作用としては、胃部不快感、下痢、悪心、腹痛などの消化器症状があげられますが、少数ながら肝機能に影響が認められる方、あるいは貧血などの症状を訴えられる方もいます。 医師は予想される副作用を未然に防いだり、早期に発見できるように、投与前や投与中に定期的な血液検査を実施します。
副作用が現れた場合は服用を中止したり、ほかの薬に変更するなどして対処されますので、心配な点は自己判断せずに、すぐに医師にご相談ください。

書類を見る男性のイラスト
高齢のため、いろいろな薬を飲んでいるのですが、飲み合わせが悪い薬などはありませんか

一緒に飲むと片方の薬の効き目が弱くなったり、逆に強くなってしまうこと、あるいはからだの機能に影響を与えることを、専門的には「薬物相互作用」と言います。
薬物相互作用の生じる薬、いわゆる飲み合わせの悪い薬については医師がきちんと判断しますが、複数の医院から薬をもらっている場合には、「この薬を服用しています」と申し出てください。

薬を見る高齢の男性のイラスト
足の爪が白くなりました。水虫ですか?

爪が白く変化した場合に最も多いのが爪の水虫です。爪の先が厚くなって、白く混濁しているときにはその可能性は高くなります。でも、爪が白くなるケースは、水虫のほかにも爪甲剝離症(爪と皮膚が剥がれる病気)や爪カンジダ症(カンジダというカビによる病気)、乾癬(難治な皮膚病)などたくさんあります。
全部の爪が白く不透明に濁っている時には、内臓の病気が原因となっていることもありますので、やはり皮膚科専門医を受診することをお勧めします。

足の爪が厚く褐色がかってきました。水虫ですか?

水虫でも爪が厚くなりますが、一般に褐色調を呈している場合には加齢による変化や靴に圧迫されたための変形、さらには爪甲鉤彎症(爪が羊の角のように彎曲)などが考えられます。これらの変化に水虫を合併していることもありますので、やはり皮膚科専門医で顕微鏡検査を受けることをお勧めします。

糖尿病ですが、水虫が治りにくいとか、悪化しやすいということはありますか?

糖尿病にかかりますと免疫力が低下するため、水虫も治りにくく、掻き壊しているうちに細菌による二次感染を起こしやすくなります。さらに糖尿病が進行して知覚異常を来すことがありますが、その場合には皮膚に水虫や細菌の二次感染が生じても気づかないことが多く、重症化してしまうこともあります。実際、糖尿病の患者さんで、足の切断を余儀なくされた人もいます。
ですから、糖尿病をお持ちの方が水虫になった場合には、とくに日常生活のケアが必要です。毎日足をよく観察する、きつい靴や靴下を避ける、足をよく乾燥させるといった注意をしてください。そして、少しでも足に異常を見つけた時には、早めに皮膚科を受診することが大切です。

高齢者の爪水虫は治療すべきでしょうか?

爪水虫にかかっている人の割合は、年齢が上がるとともに高くなりますが、中には「年のせい」と思い込んで放置している患者さんもたくさんいるようです。
でも、爪水虫を放置しますと爪の変形から起立や歩行の障害になったり、細菌感染など余病を併発したり、周囲の人に感染したりします。ですから、肝臓・腎臓などの機能低下や重篤な基礎疾患がない場合、そして併用禁忌薬を飲んでいない場合には、やはり飲み薬できちんと治すべきでしょう。何らかの理由で飲めない場合にも、外用薬をつけて他人への感染を防ぐことが大切です。

治療すれば、同居している家族にうつす心配はなくなるのですか

治療を始めれば白癬菌の感染力が弱まり、家族やまわりの人にうつしたり、自分自身のほかの場所にうつしてしまう可能性は少なくなります。
さらに治療を続けていくことで、白癬菌は死滅していきます。

3歳児に感染
3歳児に感染
爪白癬を治すために、日常生活で心がけることはありますか

爪をできるだけ削ったほうが、治療効果が上がります。
お風呂上がりなど、爪が柔らかくなっているときに、ヤスリやニッパーなどを使って爪を削りましょう。ただし、削った爪がまわりに飛び散らないように注意してください。

足をいたわる男性のイラスト

水虫と縁を切るためのアドバイス

水虫は一度治しても、再発する方が多いのも事実です。なぜ、再発してしまうのでしょうか。
そのカギを握っているのが「爪白癬、家族内感染、治療の中断」です。 水虫とさよならするためには、以下のアドバイスを守ってください。

水虫が完治した男性とその家族が喜ぶイラスト

水虫と「さよなら」するための3原則

  1. 水虫の感染源となる爪白癬を治しましょう!
    爪白癬を治療しない限り、たとえ足白癬を治したとしても、いずれ再発する可能性があります。 爪白癬をきちんと治療して、水虫の感染源を絶ちましょう。
  2. 再発、再感染を防ぐために家族全員で治療しましょう!
    そもそも水虫の多くは家族内感染です。 家族のなかに水虫の方がいる場合、その方も一緒に治療しなければ、あなた一人が治療しても意味がありません。 家のなかから水虫の感染源を絶つためには、家族全員できちんと治療する必要があります。
  3. 勝手な判断で治療を中断しないようにしましょう
    とくに足白癬の場合、「痒みがなくなったから」、「見た目では治っているから」と、勝手な自己診断で治療を止めてしまうケースがみられます。 見た目には治っていても、実際にはまだ白癬菌がいることも多いため、いずれ再発する可能性があります。 治療の継続、終了は医師の指示を守ることが大切です。

おわりに

爪白癬はこれといった症状がないことから、放置されがちですが、水虫の感染源を絶つ意味からも積極的に治療すべき疾患だと思います。
こちらでお話ししてきたように、爪白癬は根気よく治療を続ければ確実に治る病気です。
爪白癬を治療することによって、きれいな爪を取り戻すだけでなく、水虫との縁もきっぱりと絶ち切っていただきたいと思います。

根気よく治していきましょう!!

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